南米10カ国「声なき教師」401名が「日本語教育推進法の基本方針(案)」に意見書提出!

2020年4月24日(金)、南米10カ国と日本(南米での経験を持つ日本帰国者等)の日本語教師401名が「日本語教育推進法の基本方針(案)に関する南米の教師(連名)からの意見書」を日本政府(文化庁、外務省)に提出した。

昨年(令和元年/2019年)6月28日、日本では「日本語教育の推進に関する法律」が公布、施行された。条文には日本国内だけではなく、海外の日本語教育も対象と明記され、南米も日本語教育推進における支援対象となっている。

今年3月には、同法律を受けて「『日本語教育の推進に関する基本方針』(案)」が作成され、これに対し、広く一般に意見を求める「パブリックコメント」が文化庁国語課、外務省大臣官房文化交流・海外広報課の管轄により募集された。

この「基本方針」には、「中南米地域」や「海外に移住した邦人の子孫」という文言が明記され、南米の日本語教育に対する尊慮も感じられる。しかし一方で、内容においては南米の実態に即したものとなっているのか、という指摘もあった。

例えば、南米の日本語教育は日本移民の子弟教育を起点に持つことから、現在でも「子ども」の学習者が多く存在する。また、日本語レベル、年齢、学習背景や目的が異なる学習者が同じ教室内で学ぶことも多く、さらに日本での就学経験を持つ者が同席することもある。このような現状は世界でも類を見ないが、基本方針がこのような現状を反映して作成されたとは考えにくい。一方パブリックコメントは、このような現場の声を伝える機会でもあるため、現場を知る教師たちの意見を提出することが大変重要であるが、一個人が日本政府の定めた「法律」及び「基本方針」を読み込み、求められる形式で意見を述べることは容易ではない。

そこで南米の有志の教師たちは勉強会やアンケート調査を実施して、個々での意見が提出できるように活動を開始した。また併せて、これらで収集した意見をまとめ、「声なき教師」の連名として提出することも急遽決定した。同意見書は、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、パラグアイの有志が中心となって連署を募り、結果、南米10か国と日本(南米での経験を持つ日本帰国者等)から、401名の日本語教師及び関係者から賛同を得て、提出期限の4月24日にメールにて提出された。

この一連の動きに中心的に関わった日本語教師によると「『日本語教育』を南米で継続しているひとりひとりの日本語教師の熱い思いと真摯な姿に心打たれた。またそれと同時にひとりで苦境に立ち、『待遇改善や地位向上』への取り組みや教材支援等を求める切実な声も本当に多く聞かれた。これを機に『南米の日本語教育』の今後のために団結し、ビジョンを明確化してしていきたい」とのことであった。今後もこのような所属も持たない教師の声なき声を伝え、さらには南米の日本語教育の発展のために奮闘する教師たちに期待したい。

日本語教育推進法の基本方針-パブリックコメント全文はこちらから

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