日系パラグアイ人の食事と栄養状況の調査研究報告書

元海外青年協力隊の塚口朋美さんによる、日系パラグアイ人の食事内容を調査し、日本とパラグアイとの食形態を比較した研究報告書を紹介します。

2018 年度 - 日系パラグアイ人の食への意識-
-Consciousness to food of this Nikkei Paraguayan- 2018

元・青年海外協力隊 2016-2 次隊
家政・生活改善 塚口 朋美

概 要
【目的】人が生きる上で「食べること」は欠かせなないことであり、普段の食事は家族構成、居住地の気候や伝統の影響を受けていることが多い。
 そこで、戦後海外へ移住した日本人の食が、移住によって変化があったのか実態を把握するため、南米パラグアイに在住する日系パラグアイ人の食事と栄養状況の調査を実施した。
【方法】日系パラグアイ人の食事内容は聞き取りを実施し、日本とパラグアイとの食形態を比較した。栄養状況はBDHQ(Brief-type self-administered diet history questionnaire)を用いて解析した。
【結果】パラグアイは現地の伝統食が多く存在するが、パラグアイに住む日系パラグアイ人には、現地の食生活の影響はさほどみられなく日本式の食事を喫食していた。
日系パラグアイ人の栄養素等や食品群の摂取調査では、日本の当該年齢の人たちより、穀類(米、小麦など)、砂糖類、魚類、肉類の摂取量は少なかったが、野菜と果物の摂取量は多かった。そのため、それらに多く含まれるビタミン類、ミネラル類の摂取量も多かった。
これは、調査時パラグアイは夏であり野菜や果物の収穫が盛んであるため、消費量も多かったのではないかと考えられた。
エネルギー産生栄養バランス(たんぱく質、脂質と炭水化物)は、日系パラグアイ人男女とも日本の食事摂取基準値より摂取量が少ないことが分かったが、栄養バランスの観点からは理想の摂取比率にとても近いことが示された。
【まとめ】
日系パラグアイ人の食は、日本の食形態を中心としつつ、パラグアイの食形態を取り入れていることが分かった。栄養バランスの良い食生活であるため、その食事を続けることが健康維持に直結することを、広く周知していく必要があると考えられた。

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塚口朋美

  • 最終学歴 2019年 酪農学園大学大学院 酪農研究科 食品栄養科学専攻 修士課程修了
  • 職歴 2016~2018年 青年海外協力隊 家政・生活改善 ラパス市役所派遣
    派遣前は日本国内で管理栄養士の資格を活かし、食品関連会社で勤務

    

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