2022 年6 月30(木)~ 7 月1 日(金)
オンライン研修(Zoom)
テーマ「認知症の介護を支える~家族介護の経験から学び、地域活動に結び付けるには~」
全パ高齢者福祉合同研修会が6月30日(木)、7月1日(金)の2日に亘り開催されました。昨年同様にオンライン研修会となり、今回は有我きみ子元日系社会シニアボランティアを講師にお招きすることが出来ました。
6月30日研修会1日目は、午後1時30分から開会式が始まり、まず永見禎輝運営委員長、檜垣竜介連合会長による開会の挨拶、そして来賓の日本国大使館井上琢磨参事官、JICA事務所福井康所長からの挨拶に続き、参加者の紹介が行われました。
研修プログラムでは、各地区福祉ボランティアの活動報告と日系研修参加者の報告が行われました。活動報告では、Covid-19に感染すると重症化しやすい高齢者が対象なので、友愛訪問や手指を動かす塗り絵の配布、電話による安否確認など活動を行い、集合形式による活動では、感染予防対策を徹底しながら少人数制にするなど工夫し、本人や家族に理解を得ながら実施していることがよく分かりました。
また、日系研修の報告では、心身の加齢と認知症についての理解、そして栄養や運動の側面から介護予防を学び、それにより、これまでの活動を通して気付いたこと、地区での今後の活動計画などが報告されました。
2日目の7月1日は、午前8時30分より、有我きみ子さん(看護師・ケアマネジャー)の講話「認知症介護者を支える」が行われました。日本の認知症高齢者の状況と国としての取り組み、介護者支援の実際として、認知症家族の会(介護者同士が悩みや気持ちを共有し、介護についての情報交換と専門家からのアドバイスも受けられ、明日の介護への勇気を与える場所)、「認知症カフェ」(主催者が提供してくれるお茶やお菓子を自由に飲食しながら、認知症患者や家族、介護経験者などが気楽に集い、コミュニケーションやアクティビティを楽しむ場所)などが紹介され、認知症患者だけでなく家族への支援も大切なことを話されました。
続いての地元日系人よる家族介護の経験談では、認知症患者の介護は家族が主に担っているが、外出ができない、汚れていても着替えや入浴を嫌がる、飲むべき水や薬を捨てたり隠したりする、一人で外に出て行ってしまう、きつくしかってしまい後で悔やんでしまう等、身体的な介護の負担だけではなく、精神的にもストレスを抱えていることがわかった。あったらよい支援については、一人で外を歩き回っているのは、安全上のことからも、近隣の方々の協力があるとよい、認知症患者が家族にいることを隠さずに話し協力していただくなど大切なことも分かりました。そして、認知症患者本人に対する支援は、元気なうちからボランティアとの交流があって関係が築かれていると支援を受け入れやすいだろう、とのことでした。
その後、地区混合で分けたグループディスカッションでは、講話や経験談から気付いたことや地区支援活動としてできることなどが話し合われました。各グループからの発表では、認知症の方の話し相手になり、介護者の話しを聞く場づくりで、「認知症カフェ」は取り組めるのではないかということと、地域で認知症について理解してもらうこと、近隣での徘徊時の支援につながるWhatsAppグループなど、地域住民への働きかけについても報告がなされました。
最後に、講師の有我さんからは、アドバイスなどをせずにひたすら話を聞く「傾聴ボランティア」について、認知症介護の見えない辛さを同じ介護経験者が共有できる場としての「認知症カフェ」の取り組みでは、そこに行きたい人が集うようになるが、細々とでも活動を継続して、そこに行けば誰かと話せる場にすることがとても大切である、といったコメントがありました。
閉会式では、比嘉副委員長の挨拶で2022年度の合同研修会は終了いたしました。
2022年度全パ日系社会 高齢者福祉合同研修会 報告書