JICA日系社会シニアボランティア(ソーシャルワーカー)
浅海 奈津美(あさみ なつみ)
皆様はじめまして!! 2013年7月より日系社会高齢者福祉の支援要請にて日本人会連合会に赴任いたしました、シニアボランティアの浅海奈津美(あさみなつみ)です。今回はごあいさつを兼ね、自己紹介をさせていただきます。
東京都出身、50代後半、子供はいないのですが何と夫が一人おりまして、パラグアイまでついてきちゃっています(夫の声: 日本でも炊事は俺任せのしょうがない奴なので、心配でついてきてやったんだ、ありがたく思え!)。
日本では、作業療法士(Terapeuta Ocupacional)として、高齢者専門病院、老人ホーム、高齢者デイサービスなどで働き、その後大学で、高齢者や障害者の在宅生活支援について、作業療法士の卵である学生に教えていました。作業療法士と何ぞやという話はまた次の機会に…。
大学教員を続けるには頭が良くないことを自覚し、またご高齢の方と接する現場の魅力が捨てがたく、最近は東京の下町、浅草近くの山谷地区(故郷を追われ家族との縁も切れた貧しい元日雇い労働者の高齢男性が人口の6割を占める)にある、ホームレス支援団体所属の小さな訪問介護の会社で働いていました。そこでは、病気や障害のため暮らしに援助が必要となった孤独な生活保護の高齢者を、アパートやドヤ(3畳一間、トイレ風呂共同の安宿)に訪ねて、どのような介護や看護の援助が必要かを決める仕事をしておりました。訪問途中、自転車をこぎながら、東京スカイツリーが高くなっていくのを間近に眺める日々でした。
そうしながらも、ぼんやりと、南米の日系社会に関わる仕事ができるといいなあと思って、NHK放送でスペイン語講座を聞いたりしていました。で、ある日思い立ってJICAのボランティア募集の説明会にでかけたところ、たまたまその会場で経験談を話されたのが、私の前々任者の監物さん。「楽しく充実した日々だった、また行きたい!」と話される様子にすっかり魅せられ、己の技量もわきまえず応募し、あれよあれよと、現在に至る、です。
好奇心旺盛なのだけが取り柄で、北極圏で白熊の肉まで食べましたが、普段の休日は読書や美術館で過ごすのが好きです。この数年、スティールパン(ドラム缶を加工した楽器)を習っていましたが、重くて持ってこれなかったのが残念です。アルパの音色にうっとり、あこがれますが、とてもあのように美しく演奏できるとは思えません。
おっと、夫の紹介もしないと怒られます。この8月に還暦をパラグアイで迎えました。仕事はさっさと辞め、日本刀の鑑賞と試し切り中心の居合道(戸山流三段)の稽古に励んでいます。今回、自分の稽古と日本文化の紹介のため、真剣、模擬刀、木刀を持参しています。日本では丸めたゴザを切るのですが、こちらでは腕前をご披露するのに何を切ればよいか目下思案中です。早速Lambaréにある他流派の道場にも通い始めました。お呼びいただければどこにでも刀持参でかけつけるそうですので、お気軽にお声かけ下さい。そうそう、名前は修(しゅう)といいます。
殺伐とした東京から離れ、パラグアイの良いところばかり目に映る二人です。これから2年間、どうぞよろしくお願い申し上げます。
「パラグアイ日系老人クラブ連合会会報2013年9月号第202号」より